めぐり会い

「めぐり会い」は、文庫版ブラックジャック1巻に掲載されている。
如月恵(けい)というブラックジャックの旧友である船医がブラックジャックに会いに来るところから始まる。彼は昔妹を亡くしており、その妹は学生時代、ブラックジャックの恋人であったという。しかし彼女は子宮がんを患い、医局員であったブラックジャックが一人で手術をすることになった。子宮を摘出するということは女らしさを失ってしまうということである。子宮からは女性らしさを形作るホルモンも分泌されているし、子供も産めなくなってしまう。
彼女を助ける代わりに彼女を女でなくしてしまう。常人には経験できないことであるだけに、その気持ちを推し量ることはとても難しい。手術の前にブラックジャックはこう述べている。「この瞬間は永遠なんだ。」こう言葉にすることは簡単であるが、それは思い続けて初めて永遠となる。自分が死ぬまでの長い時間をそう思いながら生き続けていくということは、とても苦しい選択であっただろう。
しかし、最後で事実が明かされる。如月恵はその手術を受けた妹・如月恵(めぐみ)本人であったのだ。彼女は女性らしさを失ってしまい、男性として生きていたのだ。昔愛し合った恋人は生きているが、もう女ではなくなっている。同性同士でも愛し合う人は存在するように、彼らもまだ昔の感情を残しているのだろうか。物語の最後に伝えられる、彼が船医として働く理由は…「昔を忘れられるから」。彼は男性として、未来を見据えて生きているのだろう。

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