人面瘡
「人面瘡」は、文庫版ブラックジャック1巻に掲載されている。
人面瘡とは人間や動物の顔をしたかさぶたのことであり、言葉をしゃべったり物を食べたりするそうである。この物語では顔に人面瘡ができてしまった人が登場している。顔が大きく腫れ上がり、勝手に自分の心にないことをしゃべってしまうのである。本人はそのために人前に出ることもできず、仕事をすることもできなくなってしまっていた。
しかし、その患者は連続殺人犯だったのである。人を殺すことを趣味として楽しみ、全国に指名手配されている人物であった。物語の最後にこの人物はがけから転落して死んでしまうが、そのときブラックジャックはこう言った。「もしかしたらこの男の良心の顔だったのかもしれない。」人面瘡が出ている間は人前にも出られず、殺人をしたいという衝動は起こらなかった。指名手配されているといっても、つかまることはなかったであろう。
良心とは、ドラマなどでは天使のように描写されることが多いが、本当は汚らしく、二目と見れないような姿をしているのかもしれない。人は気付かないうちに悪の道へ走っていることがある。悪への道のりは進みやすく、楽しいことが多いからである。そのなかで本当の良心の道を歩こうと思えば、どうしてもつらく苦しい道程を歩まなければならない。他の人々が避けて通るような、その先には地獄しかないと思わせるような、長いいばらの道が、本当の良心へつながる唯一の道筋であるのかもしれない。