畸形嚢腫
「畸形嚢腫」は、文庫版ブラックジャック1巻に掲載されている。
双子の子どもが生まれる予定であったが、片方の子どもに異常が起こり、健康体として生まれてきた方の子どもの体に腫瘍としてへばりついて生まれてくることがある。それが畸形嚢腫である。畸形嚢腫を切り開くとそのできそこなった子どもの内臓や脳、手足など体のパーツが入っていることがある。なかなか聞くことのない用語であるが、人間も一つの細胞から出来上がった一つの完成体である、ということを認識させられる言葉である。普通はすぐに切り落とすが、この話では呪われた嚢腫が登場する。
どのようなことをしても切り落とすことができず、無理に手術をしようとすると医者に異常が起こる。それをブラックジャックが切り落とし、中身を殺さずに培養するのである。それを人間の体に組み立て、人間として再生させたのがピノコである。ピノコはブラックジャックの助手として人気の高いキャラクターであるが、この話ではそのピノコの出生の秘密が語られている。
実際には、人間の体の部分は複雑に絡み合っており、プラモデルのようにパーツから一人の人間に組み上げることは不可能だそうだ。嚢腫として誕生したピノコは切られることを拒み続け、生きることを望んだ。嚢腫は切られてしまえば捨てるのみで、それは死を意味している。人間の体に出来上がっていなかったピノコは、嚢腫に入っている脳で死にたくないと、思い続けていたのであろう。